トピックス

IBUKI通信[第11号]より情報をお届けいたします。2020年5月

ごあいさつ

 平素はライソゾーム病のスクリーニング検査にご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。福岡県にて昨年4月よりファブリー病、ポンペ病に合わせ比較的患者様が多いゴーシェ病及びムコ多糖症I型、II型を追加した5項目での検査を開始した結果、122の分娩取扱い施設にご参加いただいております。検査開始に向けてご理解、ご支援をいただきました福岡県産婦人科医会また分娩取扱い施設の皆様、更に検査を受けることに対しご理解を頂いた保護者の方々に心より感謝申し上げます。
 今回ムコ多糖症I型の検査について、患者疑いとして精密医療機関へ受診頂く児を極力減らすことを目的に検査カットオフ値の見直しを実施させて頂きました。また新たにゴーシェ病の確定患者が1名発見されました。引き続き患者様が埋もれることなく検査で見つかり早期に適切な治療を受けることにより、日常生活におけるQOLが改善されることを願いつつ、検査状況の報告をさせていただきます。

NPO法人IBUKI理事長 廣瀬 伸一 (福岡大学医学部小児科 主任教授)

実施状況

井上 貴仁福岡大学西新病院小児科
診療教授井上 貴仁

 本検査は、福岡県産婦人科医会のご支援の下、各分娩取扱い施設様のご協力と 保護者の方々のご理解を得ながら実施させていただいており、契約施設における直近の検査希望率は91%程度となっています。以下のとおり実施状況を報告 させていただいます。
 ファブリー病及びポンペ病スクリーニングは2014年7月に検査を開始以来、2019年1月 末までに151,165名の新生児を検査いたしました。検査開始以来、ファブリー病スクリー ニングでは精密検査が必要となった児は44名で、12名がファブリー病、8名は異常なしと 診断され、15名が経過観察中、8名が精査中、1名が精密検査中止、という状況です。
 同様に、ポンペ病スクリーニングでは精密検査が必要となった児は51名で、40名が経過観察中、7名は異常なしと診断され、4名が精査予定です。
 上記検査項目に加え、2019年4月より、ゴーシェ病、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症II型の3項目を追加し、検査を実施しております。検査開始以来、2020年1月末までに、30,496名の新生児を検査いたしました。ゴーシェ病スクリーニングでは精密検査が必要となった児は1名で、この1名がゴーシェ病でした。ムコ多糖症I型スクリーニングでは精密検査が必要となった児は1名で、無症状で経過すると推測されますが、しばらく経過観察致します。ムコ多糖症I型スクリーニングでは精密検査が必要となった児は21名で、1名がムコ多糖症I型で生後3個月より酵素補充療法を開始しました、1名が経過観察中、2名は異常なしと診断され、17名が精査中です。
 今回、ムコ多糖症II型の検査カットオフ値を10.0pmol/hr/disk未満から5.0pmol/hr/disk未満に2019年12月1日より変更致しました。カットオフ値は新生 児検体の測定値の分布、患者検体の測定値等を勘案し設定致し ます。今回、当該検査法を用いたスクリーニング検査運営の実績を蓄積していく中で精密検査となった児に対する精密検査結果と同意を頂き行った遺伝子検査結果をもとに変更致しました。
 今回、ゴーシェ病検査にて要精密児が発生し、1名診断確定となりました。本件含め、早期に診断できた患者様や経過観察中 のお子様は、当院他にて適切にフォローされており、ご家族の安 心にも繋がっていることに私共も意義を感じており、ご協力をい ただいています皆様方には心より感謝申し上げます。

  • ファブリー病スクリーニング

    福岡県 受検数 要精密数 確定数 発見頻度
    2014年度(7月~3月) 8,487 5 3 1/2,829
    2015年度(4月~3月) 15,725 9 1 1/15,725
    2016年度(4月~3月) 22,780 9 1 1/22,780

    2017年度(4月~3月)

    36,229 11 6 1/6,038
    2018年度(4月~3月) 37,448 3 1 1/37,448
    2019年度(4月~1月) 30,496 7 0 -

    患者発見頻度1/12,597(151,165名検査、12名発見)

  • ポンペ病スクリーニング

    福岡県 受検数 要精密数 確定数 発見頻度
    2014年度(7月~3月) 8,487 8 0 -
    2015年度(4月~3月) 15,725 8 1※1 -
    2016年度(4月~3月) 22,780 13 0 -
    2017年度(4月~3月) 33,229 16 0 -
    2018年度(4月~3月) 37,448 3 0 -
    2019年度(4月~1月) 30,496 3 0 -

    ※1 第3号(2016年4月)にて確定と報告しましたが、現在経過観察中

  • 新規検査項目の実施状況
  • ゴーシェ病スクリーニング

    福岡県 受検数 要精密数 確定数 発見頻度
    2019年度(4月~1月) 30,496 1 1 1/30,496

    患者発見頻度1/30,496(30,496名検査、1名発見)

  • ムコ多糖症Ⅰ型(MPS1)スクリーニング

    福岡県 受検数 要精密数 確定数 発見頻度
    2019年度(4月~1月) 30,496 1 0 -
  • ムコ多糖症Ⅱ型(MPS2)スクリーニング

    福岡県 受検数 要精密数 確定数 発見頻度
    2019年度(4月~1月) 30,496 21 1 1/30,496

    患者発見頻度1/30,496(30,496名検査、1名発見)

患者と家族の会主催 セミナーのご案内

セミナーのご案内

 一般社団法人「全国ファブリー病患者と家族の会」(別称: ふくろうの会)主催の「九州ブロック福岡オープンセミナー2020」が、令和2年6月14日(日)、福岡大学病院にて開催されます。ふくろうの会は、難病医療推進を通じ、患者と家族が一体となって医療の発展と向上に寄与し、また医療サービスの地域間格差を是正し、会の発展とあわせて会員相互の融和と親睦をはかることを目的として2002年に設立された組織です。会では、セミナーの開催やホームページの運営を行い、少しでも患者・家族のQOLの向上、悩みや不安を軽くできるよう活動されています。

ご案内

ご案内

「九州先天代謝異常症診療 ネットワーク会議2020」

新生児スクリーニングの対象疾患の診断や 治療の進歩は著しく、専門医、小児科医、産婦人科医、家族などにおける情報の交換がより必要とされます。本会議は、九州地区の医師、医療関係者に対して、新生児マススクリーニングに関わる分野の事項を最新の知識とともにわかりやすく解説し、同時に地域の新生児スクリーニング対象疾患の診断と治療の知識を高めることを目的として開催されています。

新型コロナウイルス感染予防のため 延期あるいは中止の可能性がございます。

ゴーシェ病の症状

 肝腫大や骨症状が主な症状となります。神経症状の有無と重症度によりⅠ、Ⅱ、Ⅲ型に分類 されます。

  • 1)Ⅰ型:

    非神経型。発症時期、骨症状の有無、肝脾腫の程度において幅広い症状をしめします。

  • 2)Ⅱ型:

    神経型。乳児期に発症し肝脾腫に加え発達遅滞、けいれんなどの神経症状を伴い急速に神経症状が進行します。

  • 3)Ⅲ型:

    神経型。神経症状を伴うⅡ型よりもその程度は軽度で進行が緩徐です。Ⅲ型は更に3つの亜型に分類されます。Ⅲa型は古典型なⅢ型の病型で肝脾腫に加え若年発症の神経症状を示します。Ⅲb型はより早期に発症し重篤な臓器症状を呈します。Ⅲc型は水頭症、角膜混濁、心弁膜石灰化など症状を呈します。

 海外と異なり日本人患者ではⅡ型とⅢ型の神経型ゴーシェ病患者が全体の半分以上(約60%)を占めると報告されており、またⅠ型からⅢ型に移行する症例もあります。

~先天性の難病から赤ちゃんを守ろう~
ライソゾーム病新生児マススクリーニングの普及を目指して

読売新聞(2020年2月11日朝刊)に掲載されました。

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