トピックス

IBUKI通信[第2号]より情報をお届けいたします。2015.10.01

ごあいさつ

平素はライソゾーム病の有料パイロットスタディにご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。お陰さまで、2014年7月に検査を開始以来、1年2ヶ月が経過し、福岡市域や筑豊地区を中心とした45の分娩取扱い施設で14,400名の新生児の検査を行うことができました。
ライソゾーム病は、ライソゾーム内の酸性分解酵素の遺伝的欠損により、ライソゾーム内に大量の脂質、あるいはムコ多糖などを蓄積し、種々な症状を呈する疾患群であり、ファブリー病やポンペ病など31疾患が指定難病の対象となっています。

ファブリー病やポンペ病などの患児が早期に見つかり、適切な治療や生活環境を整えることで、病気の進行を遅らせ、日常生活における生活の質(QOL)の改善が期待できます。患者さんが埋もれることなく検査でみつかることを願いつつ、検査状況の報告をさせていただきます。

NPO法人IBUKI理事長 廣瀨伸一(福岡大学医学部小児科 主任教授)

患者と家族の会主催のセミナーご報告

一般社団法人「全国ファブリー病患者と家族の会」(別称:ふくろうの会)主催の「吸収・沖縄ブロック福岡オープンセミナー2015」が平成27年2月1日(日)福岡大学病院にて開催されました。本セミナーは日本を代表する専門家の先生方や厚生労働省の小児慢性特定疾患対策の専門官のご講演があり、更に直接関係者へ質問や確認ができる場として、多くの方々が真剣かつ積極的に参加されていました。

実施状況

本検査は、福岡県産婦人科医会の福岡ブロック会や筑豊ブロック会のご支援と福岡県内45の分娩取扱い施設のご協力をいただきながら、2014年7月に開始以来、2015年8月末までに14,4000名の新生児を検査いたしました。
ファブリー病スクリーニングでは精密検査が必要となった児は8名で、4名がファブリー病、1名が異常なしと診断され、1名が里帰り出産で不明、2名が精査中です。 ポンペ病スクリーニングでは精密検査が必要となった児は10名で、7名は解析対象者(確定数ではない。遺伝子解析を必要とする対象者。)ではないと診断され、1名が精査中、2名が精査機関に確認中です。

  • ファブリー病スクリーニング

    福岡県 研究項目受検数 要精密数 確定数 発見頻度
    2014年度(7月~3月) 8,487 5 3 1/2,829
    2015年度(4月~8月) 5,913 3 1 1/5,913

    患者発見頻度:1/3,600(14,400名検査、4名発見)

  • ポンペ病スクリーニング

    福岡県 研究項目受検数 要精密数 解析対象者数 発見頻度
    2014年度(7月~3月) 8,487 8 0 -
    2015年度(4月~8月) 5,913 2 7 -

    ※解析対象者数:確定数ではない。遺伝子検査を必要とする症例

患者の頻度

ファブリー病

従来、典型的なファブリー病は稀な疾患と考えられており、その頻度は4万人に1人程度とされていましたが、井上ら1)は7千人に1人(3/21,170)と報告しています。患者の多くは青年期以降に発症する成人型で、今後、定期的な検査が必要です。
成人型ファブリー病では、心臓や腎臓に肖像が出ることが知られており、鹿児島大学医学部・歯科学部付属病院を受診した心臓肥大の患者さんの3%がファブリー病であったとの報告があります。
海外においては、台湾での新生児に対するスクリーニングの結果、男児の1,250~1,370人に1人がファブリー病であり、その80%以上に心臓肥大の患者さんで報告された遺伝子異常を認めることが明らかとなっています。これらの結果から、ファブリー病はこれまで考えられていたよりも高い頻度で存在することが考えられます。
また、慢性血液透析患者におけるスクリーニングでは、男性透析患者の0.2~1.2%がファブリー病であったと報告されています。
1)Inoue T., et al. Newborn screening for Fabry deisease in Japan:prevalence and genotypes of Fabry disease in a pilot study. Journal of Human Genetics (2013) 58, 548-552

ポンぺ病

ポンペ病についても、従来4万人に1人程度の頻度と言われています。
また、海外においては、乳児型はアフリカ系アメリカ人および中国人で頻度が高く、成人型はオランダ人に多いことが報告されています。

※検査に係る費用等の詳細は、かかりつけの産科医療機関にお尋ねください。